コレステロール食事制限は不要?

コレステロールについて食事制限は不要というお話を聞かれた方もいらっしゃるかと思います。2013年にアメリカの学会が「コレステロール摂取量を減らして血中コレステロール値が低下するかどうか判定する証拠が数字として出せないことからコレステロールの摂取制限を設けない」と発表しました。日本でも「2015年日本人の食事摂取基準」で健常者では同じ理由でコレステロール摂取量の制限目標値を撤廃しました。
 しかし注意が必要なのは、その理由が"証拠が出せないから"で、対象が"健常者"となっていることです。証拠が出せない理由として、コレステロールは食事から摂取する分より体内で合成される分のほうが多いこと、食事制限によるコレステロールの低下は個人差が大きい為と考えられます。従って現在コレステロールが高くない健常人ではコレステロール摂取制限はあまり効果がないと考えられます。しかし "高コレステロール血症"の状態にある人ではやはり薬物療法の前に運動・食事など生活習慣の改善が有効で必要です。
 コレステロールを下げるためには、食事のコレステロールが過剰にならないこと、肉類に多い飽和脂肪酸の割合を減らし代わりに魚に多い不飽和脂肪酸を増やすこと、食物繊維を多く含む大豆製品、海藻、野菜類を増やすことなどが有効です。しかし生活習慣の改善で十分に良くならないない場合には、適切な薬物療法が必要です。しっかり検査を受け自分に合った治療法を見つけましょう。(平成28年2月24日)